「てんかん」の手術・治療件数の全国病院ランキング(2022年度実績)です。厚生労働省のデータに基づいています。てんかん専門の医師がいる全国の病院が対象です。1位は静岡てんかん・神経医療センター、2位は国立精神・神経医療研究センター病院、3位は西新潟中央病院となっています。(大畑亮介)

手術・治療件数ランキング(全国トップ30)~2022年度実績

<出典>

てんかんの手術・治療件数の病院ランキング~2022年度実績
順位 病院名 治療数
(うち手術数)
1位 国立病院機構 静岡てんかん・神経医療センター
(静岡市)

病院についての説明↓
2,407
(81)
2位 国立精神・神経医療研究センター病院
(東京都小平市)
685
(48)
3位 国立病院機構 西新潟中央病院
(新潟市)
611
(45)
4位 大阪市立総合医療センター
(大阪市)
432
(36)
5位 国立病院機構 長崎医療センター
(長崎県大村市)
426
(44)
6位 東京都立神経病院
(東京都府中市)
351
(27)
7位 大阪母子医療センター
(大阪府和泉市)
338
8位 東北大学病院
(宮城県仙台市)

名医:中里信和(てんかん科科長)ほか
265
(45)
9位 中村記念病院
(札幌市中央区)
258
10位 総合病院 聖隷浜松病院
(静岡県浜松市)
245
(55)
11位 TMGあさか医療センター
(埼玉県朝霞市)
231
(28)
12位 大阪大学医学部附属病院
(大阪府吹田市)
228
(39)
13位 兵庫県立尼崎総合医療センター
(兵庫県尼崎市)
218
14位 日本赤十字社愛知医療センター名古屋第二病院
(愛知県名古屋市)
205
15位 松戸市立総合医療センター
(千葉県松戸市)
198
16位 安城更生病院
(愛知県安城市)
194
17位 聖マリア病院
(福岡県久留米市)
191
18位 順心病院
(兵庫県加古川市)
188
19位 岡山大学病院
(岡山市)
185
(23)
20位 奈良県立医科大学附属病院
(奈良県橿原市)
181
(38)
21位 広島大学病院
(広島市)

名医:飯田幸治ほか
機能温存を重視したてんかん手術を提供し、焦点判断のための新たな手法・定位的頭蓋内脳波の導入にも取り組む。また、てんかん疾患啓発活動も長年行っている。
179
(25)
22位 自治医科大学附属病院
(栃木県下野市)

名医:川合謙介ほか
抗てんかん薬で止められないてんかん発作に対する外科治療、脳機能温存を重視した脳神経外科手術に取り組む。
178
(19)
23位 順天堂大学医学部附属順天堂医院
(東京都文京区)
176
(54)
24位 福岡大学病院
(福岡市)
176
25位 仙台市立病院
(宮城県仙台市)
171
26位 千葉西総合病院
(千葉県松戸市)
165
27位 宇都宮病院
(栃木県宇都宮市)
164
28位 聖マリアンナ医科大学病院
(神奈川県川崎市)
162
(31)
29位 藤田医科大学病院
(愛知県豊明市)
160
30位 岐阜県総合医療センター
(岐阜市)

静岡てんかん・神経医療センターとは

国立病院機構「静岡てんかん・神経医療センター」(静岡てんかん病院、静岡市)は、日本を代表するてんかん治療の基幹病院である。

乳児から高齢者まで全国各地の難治患者を受け入れている。

精密な診断や高度治療、リハビリケアから、治療法や治療薬などの研究、教育までを包括して担う。

てんかん患者を対象にした外科治療は1983年に開始された。

全国で年間800〜1,000人以上が外科手術を受ける中、静岡てんかん病院ではその1割近くに当たる年間80人以上(2022年度実績は81件)が手術を受けている。

病棟の1室には、センターが導入している「脳波ビデオ検査」用の薄型モニターが数十台並ぶ。

てんかんの症状は千差万別。診断を確定させるため、外科手術する部位を特定するためにも欠かせないという。

近年では、より精密に発作の焦点を特定するために、頭蓋内に電極を挿入する「SEEG(ステレオ脳波)」などの高度な検査手法も積極的に導入されている。

モニターには、脳波の波形とともに頭部に電極を付けた患者の様子が映し出されている。

実際に脳波に異常があった時に患者がどんな行動を起こすかを映像で確認して症状を患者本人に示したり、治療薬の選定に活用したりできる。

脳波に異常があればコンピューターが感知し、脳のどの部位に問題があるかモニターに表示される。

異常値を示した時の患者さんの様子も分かるという。

てんかんは患者自身がはっきりと発作の症状を自覚するケースが少ないという。

このため、静岡てんかん病院では、症状を特定できない患者や外科手術を予定する患者の脳波を看護師らが24時間チェックする態勢を整えている。

運転中の発作によるとみられる悲惨な交通事故も起こり、てんかんには負のイメージが先行しがち。

一般の人にもてんかんを理解してもらおうと毎年、専門医や看護師らを全国各地に派遣して市民講座を開き、正しい知識の普及にも努めている。(参考:アテル投資顧問

歴史・沿革

1926年3月、静岡市立静岡療養所として創設。1974年4月に国立療養所静岡東病院と改称。

1975年難病(てんかん)診療基幹施設に指定。

2001年に国立静岡病院と組織統合、国立療養所静岡神経医療センターとして開院。

2004年に独立行政法人化に伴い、名称が「国立病院機構 静岡てんかん・神経医療センター」に変更。

概要

▽406床

▽てんかんセンターの医師約30人(うち専門医18人以上)、てんかん病棟担当の看護師83人以上

▽静岡市葵区漆山


【2014年実績】手術・治療件数ランキング

順位 病院名 手術数+処置数
1位 国立病院機構 長崎医療センター
(長崎県大村市)
337
2位 東北大学病院
(宮城県仙台市)
280
3位 大阪市立総合医療センター
(大阪市都島区)
243
4位 中村記念病院
(札幌市中央区)
232
5位 岐阜県総合医療センター
(岐阜市)
201
6位 総合病院 聖隷浜松病院
(静岡県浜松市)
184
7位 名古屋第二赤十字病院
(名古屋市昭和区)
167
大阪脳神経外科病院
(大阪府豊中市)
167
9位 京都大学医学部附属病院
(京都市)
165
10位 順天堂大学医学部附属順天堂医院
(東京都文京区)
158
11位 国立循環器病研究センター病院
(大阪府吹田市)
157
12位 東京都立墨東病院
(東京都墨田区)
155
13位 国保 松戸市立病院
(千葉県松戸市)
151
14位 東京女子医科大学病院
(東京都新宿区)
148
15位 名古屋掖済会病院
(名古屋市中川区)
147
浅ノ川総合病院
(石川県金沢市)
147
17位 済生会熊本病院
(熊本市)
144
18位 京都第二赤十字病院
(京都市)
142
19位 富永病院
(大阪市浪速区)
140
大阪府立病院機構 大阪府立母子保健総合医療センター
(大阪府和泉市)
140
21位 東京大学医学部附属病院
(東京都文京区)
138
22位 安城更生病院
(愛知県安城市)
135
公立陶生病院
(愛知県瀬戸市)
135
24位 神戸市立医療センター中央市民病院
(兵庫県神戸市)
134
25位 大阪大学医学部附属病院
(大阪府吹田市)
132
26位 順心病院
(兵庫県加古川市)
128
倉敷中央病院
(岡山県倉敷市)
128
28位 国立病院機構 四国こどもとおとなの医療センター
(香川県善通寺市)
126
29位 仙台市立病院
(宮城県仙台市)
124
30位 中部徳洲会病院
(沖縄市)
123
沖縄県立中部病院
(沖縄県うるま市)
123

てんかんとは

てんかんの定義

てんかんとは、脳内の神経細胞(ニューロン)に過剰な電気的放電が起きることで、繰り返し「てんかん発作」を引き起こす慢性的な脳の疾患です。かつて言われていた性格変化や人格変化などは、現在では否定されており、適切な治療により多くの人が社会生活を営むことが可能です。

脳波検査による特徴

診断の際、脳波検査においててんかん特有の波形(棘波など)を確認することが重要な指標となります。これによって脳のどの部位から発作が起きているか、どのようなタイプの発作かを判断します。

原因による分類

「特発性てんかん」は、検査で脳に異常が見つからず、遺伝的素因などが関与していると考えられるものを指します。一方、「症候性てんかん」は、脳腫瘍、頭部外傷、脳血管障害などの明らかな脳の病変が原因で起こるものを指します。

有病率と身近な疾患としての側面

てんかんの有病率は人口の約0.5〜1.0%(100人に1人前後)とされており、子どもから高齢者まであらゆる世代で発症する可能性がある非常に身近な病気です。

強直間代発作(全般発作)

「全般発作」のひとつである強直間代発作(かつての大発作)は、突然の意識喪失とともに全身が硬直(強直期)し、続いて手足をガクガクと震わせる(間代期)状態を指します。数分で治まりますが、発作中は自律神経の乱れや失禁を伴うこともあります。回復後は発作中の記憶がないのが一般的です。

欠神発作の特徴

「欠神発作」は、数秒から数十秒ほど急に意識が途切れる発作です。動作が止まり、呼びかけに反応しなくなりますが、倒れることは少ないのが特徴です。学童期の小児によく見られ、成長とともに治癒することも多い発作です。

性格特性に関する現代の考え方

かつて「てんかん性格」と呼ばれた特徴は、現在では病気そのものの症状ではなく、薬の副作用や長期的な療養環境による心理的影響、あるいは合併する発達障害などの特性であると考えられるようになっています。現在、多くの患者は社会に適応し、日常生活を送っています。

認知機能への影響と治療目標

発作が頻回に繰り返されたり、重積状態が続いたりする場合、認知機能に影響が出ることもありますが、適切な診断と早期治療によって、生活の質(QOL)を維持することが現在の医療の重要な目標となっています。

診断と検査の流れ

診断は、発作時の状況の聞き取りが最も重要であり、そのほか脳波検査、磁気共鳴画像装置(MRI)、血液検査などを組み合わせて総合的に判断されます。

薬物療法と外科手術

治療の基本は、個々の患者に合わせた抗てんかん薬による薬物療法です。薬でコントロールが難しい「難治性てんかん」の場合でも、焦点(発作の起点)が特定できる場合は外科手術によって劇的な改善が見込めるケースも増えています。

今後の経過と見通し

経過は、患者の約70〜80%(7〜8割)が薬物療法によって発作を完全に抑制、あるいはコントロールでき、発作のない平穏な生活を送ることができます。