心房細動(しんぼうさいどう)のカテーテル・アブレーション(心筋焼灼術/しんきんしょうしゃくじゅつ)による手術・治療の全国病院ランキングです。2018年の実績ベース。 厚生労働省(厚労省)のデータに基づいています。「経皮的(けいひてき)カテーテル心筋焼灼術」が2014年に15例以上の全国の病院が対象です。1位は福岡の小倉記念病院。2位は群馬県立心臓血管センター、3位はさいたま赤十字病院となっています。全国の不整脈の専門医師。(医療・介護情報メディア「リトリート」編集部)

手術件数ランキング(全国トップ30)~2018年実績

順位 病院名 手術数
1位 小倉記念病院
(福岡県)
861
2位 群馬県立心臓血管センター
(群馬県)
806
3位 さいたま赤十字病院
(埼玉県)
710
4位 桜橋渡辺病院
(大阪府)
680
5位 横須賀共済病院
(神奈川県)
644
6位 済生会熊本病院
(熊本県)
639
7位 湘南鎌倉総合病院
(神奈川県)
542
8位 横浜市立みなと赤十字病院
(神奈川県)
541
9位 筑波大学病院
(茨城県)
533
土浦協同病院
(茨城県)
533
11位 大阪急性期・総合医療センター
(大阪府)
517
12位 北光記念病院
(北海道)
488
13位 岡山ハートクリニック
(岡山県)
487
14位 名古屋第二赤十字病院
(愛知県)
443
15位 関西労災病院
(兵庫県)
439
16位 長野中央病院
(長野県)
430
17位 京都大学病院
(京都府)
417
18位 豊田厚生病院
(愛知県)
416
19位 国立循環器病研究センター
(大阪府)
410
20位 獨協医科大学埼玉医療センター
(埼玉県)
408
21位 君津中央病院
(千葉県)
403
22位 仙台厚生病院
(宮城県)
392
23位 豊橋ハートセンター
(愛知県)
385
24位 日本医科大学病院
(東京都)
375
25位 大垣市民病院
(岐阜県)
359
26位 東京医科歯科大学病院
(東京都)
357
27位 岐阜ハートセンター
(岐阜県)
355
28位 九州大学病院
(福岡県)
350
29位 東京慈恵会医科大学附属病院
(東京都)
346
30位 香川県立中央病院
(香川県)
335

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自覚症状乏しい「心房細動」脈拍の変化に気付いてめまいや動悸にも注意

2017.09.09、共同通信

心房細動は、心臓の拍動が乱れてしまう不整脈の一種だ。心臓の働きが悪くなって心不全などのリスクが高まるほか、心臓の中にできた血の塊「血栓」がはがれて血管内を運ばれれば脳梗塞につながる危険がある。一方で心房細動は、自覚症状が乏しく見つかりにくい病気だ。専門家は、自分の脈を取ってみて変化に気付くことが大切だとしている。

国立循環器病研究センター(大阪府吹田市)心臓血管内科部門・不整脈科の草野研吾部長によると、心臓は右心房にある「洞結節(どうけっせつ)」という部位からの電気信号によってリズミカルに拍動する。しかし心房細動では、左心房側の別の箇所から余計な電気信号が出るようになり、この信号が左右の心房を渦巻くように巡るため、心房が1分間に数百回、けいれんするように動く。体に血液を送り出す心室は、この電気信号が「房室結節(ぼうしつけっせつ)」という中継点を通る際に調整されるため、心房細動であっても比較的落ち着いた心拍数となる。

自覚症状は「どきどきする」「胸が苦しい」「階段を上るのがきつい」「息が切れる」など。ただ「全く症状がなく長期間気付かないことも多い。心房細動が起きている人の約40%は自覚症状がない」と草野さんは注意を促す。

この病気では、心房内で血がよどみ、血栓ができやすくなることが知られている。それがはがれて運ばれ、脳の血管に詰まる「心原性脳塞栓(そくせん)症」は、脳梗塞全体の約3割を占め、近年その割合が増加しているという。

草野さんによると、治療は抗不整脈薬や血栓をできにくくする抗凝固薬を服用。さらに根治のために、血管から挿入したカテーテルを使って誤信号を発する箇所を高周波電流で焼くなどする「アブレーション」も選択肢だ。国内では年間6万例を超える実績がある。

同センターの小久保喜弘予防健診部医長によると、センターでは1989年から地元吹田市の協力を得て、住民基本台帳から30~70代の男女を無作為抽出する方法で大規模な疫学研究を実施した。「心筋梗塞や脳卒中で同様の大規模疫学調査はあったが、心房細動では欧米のデータしかなかった」という。

同意が得られて、研究のための健康診断や検査を受けてもらった人を2015年末まで追跡した結果、期間中に6485人中311人が心房細動を発症した。小久保さんらは、年齢や性別などの影響を考慮すると1年間に全国で45万人が発症すると推定している。

この研究で、心房細動の危険因子が明らかになった。「高齢」「男性」「血圧の上が高い」「喫煙」「過度の飲酒」などで、これらの複数項目に当てはまる人は要注意だ。同センターでは自分で10年後の心房細動の危険性を採点できる予測スコアも開発し、ウェブサイトで公開している。

早期発見のために小久保さんが勧めるのが、めまいやふらつき、動悸(どうき)などに気付いたら自分で脈を取ってみること。家庭用血圧計が普及して血圧を測る人は増えたが、その際に脈も測ってほしいという。

安静にして、親指の付け根の手首を人さし指から薬指までの指3本で探ると脈が取りやすい。心房細動になっている場合、脈拍は強弱がばらつき、速い脈、遅い脈が不規則に繰り返される。この際、同時に血圧が上がることもある。脈拍が1分間に50回未満、または100回以上になっていたり、一日の中で大きく変動したりするときは、かかりつけ医に相談することが望ましい。

心房細動とは、心臓の一部である心房が不規則に震えるため、正常な脈拍を維持できなくなる状態のことだ。血流が低下し、血がよどんで血栓ができやすくなり、それが脳に届くと脳梗塞の原因となるほか、心不全のリスクも高くなる。

「ところがメタボリック症候群などに比べて、心房細動の認知度はかなり低い」と公益財団法人心臓血管研究所(東京都港区)の山下武志所長は言う。

富山大病院などのチームの研究によると、2013年に開かれた脳卒中に関する市民講座の参加者約170人のうち、心房細動を知っていた人は全体の43%で、高齢者では37%にとどまった。

岡山大の伊藤浩教授(循環器内科)によると、心房細動の人の半数以上は無症状だという。自分で脈を取ってみて一拍一拍の間隔がバラバラだったり、血圧計で普通に測れなくなったりすれば心房細動の可能性がある。

「健康診断などで見つかっても『無症状だから』と治療しない人が多い。心房細動だと言われたら、かかりつけの医師や循環器内科医に相談してほしい」と伊藤教授は呼び掛ける。